唐辛子の辛味形質の遺伝はメンデルの法則に従う

トウガラシの辛味の有無はメンデルの法則に従って遺伝する

 トウガラシの辛味の有無に関する遺伝様式は極めてシンプルで、上図のようにメンデルの法則に従って遺伝します。

トウガラシの辛味形質は、「辛味あり」が「辛味なし」に対して優性であることが明らかにされており、「鷹の爪」のような「辛味あり」品種と、「ピーマン」のような「辛味なし」品種を交配すると、優性の法則(両親の持つ形質のうち、子供にはどちらか一方の形質のみが現れる遺伝法則)より、その子供はすべて「辛味あり」となります。また、その子供を自家受粉して得られた孫世代の辛味形質は、「辛味あり」と「辛味なし」が3:1の比で分離します。

これらはメンデルの法則で習う、エンドウ豆の「丸い種子」と「しわの種子」の遺伝と全く同じで、極めてシンプルであると言えます。

トウガラシの辛味形質を支配する遺伝子について

トウガラシのカプサイシン生合成経路と辛味の有無を支配する4つの遺伝子(Pun1, pAMT, CaKR1, CaMYB31)。これらに変異が生じ、遺伝子の機能が失われるとカプサイシンが合成されず非辛味となる。

 孫世代で3:1の分離がみられるような形質の遺伝は、その形質が1遺伝子により支配されているものであると考えることができます(2遺伝子以上が関与する形質の遺伝は3:1のような分離がみられない)。トウガラシの辛味の有無についても、1遺伝子支配であることが明らかにされており、過去の研究では辛味形質を制御する複数の遺伝子が特定されています。

トウガラシの辛味形質を支配する遺伝子はいずれも、辛味成分であるカプサイシンの生合成に関与する遺伝子であり(上図)、これらに変異が生じ、遺伝子の機能が失われると、カプサイシンが正常に合成されないため、辛味が無くなります。

これまでの研究ではPun1, pAMT, CaKR1, CaMYB31という4つの遺伝子が辛味形質を制御することが明らかにされており、なかでもPun1という遺伝子はカプサイシン合成経路の最下流で働く遺伝子であり、最も重要な役割をもつと考えられています。

【参照】・Biochemistry and molecular biology of capsaicinoid biosythesis: recent advances and perspectives (Arace-Rodriguez et al. 2019)

・Mutation in the putative ketoacyl-ACP reductase CaKR1 induces loss of pungency in Capsicum, Koeda et al. 2019.

 

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