カプサイシンは唐辛子のどの部分でつくられるの?

カプサイシンは果実内の胎座(たいざ)・隔壁(かくへき)という組織でつくられる

ピーマンの胎座・隔壁

 トウガラシの辛味成分であるカプサイシンは果実全体で作られるわけではなく、果実内の胎座と隔壁という組織で合成されることが知られています。トウガラシと同じ仲間であるピーマンで説明すると、胎座とは上図のように種子が付着している部分で、隔壁とは果実内の部屋を仕切っている壁のことです。

 ピーマンの隔壁組織と胎座組織には、このように明確な区別があるのですが、トウガラシの多くは胎座と隔壁が連続しており、明確に区別することができません。下図は「ししとう」果実の断面図ですが、胎座と隔壁の境目は微妙ですよね。

ししとうの胎座・隔壁

 カプサイシンはこの胎座・隔壁の表皮細胞で合成されてると言われており、果肉や種子ではほとんど合成されていません。

 しかし、トリニダードモルガスコーピオンといった一部の激辛品種では、果皮(果肉)や種子からもカプサイシンが検出されると報告されており、カプサイシンが必ずしも隔壁や胎座だけで合成されるわけではないようです。ただ、日本で流通されているようなトウガラシではおそらく種子や果皮には辛味はほとんどないでしょう。

カプサイシン合成に必要な遺伝子は胎座・隔壁でしか働いていない

 これまでの研究で、カプサイシン合成に必要不可欠ないくつかの遺伝子が胎座・隔壁でしか発現していない(働いていない)ことが明らかにされています。遺伝子がこのように胎座・隔壁で特異的に働くのは、葉、根、茎、果実などの組織を構成する細胞内のゲノム(DNA)の情報が異なるためではなく、すべての組織で同一のゲノムを持っていながら、実際に働く遺伝子が組織ごとに綿密に決められているためです。今回の場合で言うと、カプサイシン合成に必要な遺伝子が、胎座・隔壁のみで働き、その他の組織では働かないように決められているということです。

 このため、たとえ「ハバネロ」の葉っぱを食べたとしても、葉の組織でカプサイシン合成に必要な遺伝子が働いておらず、当然、カプサイシンは合成されないため、絶対に辛味はないのでご安心ください。

【参照】・Biochemistry and molecular biology of capsaicinoid biosythesis: recent advances and perspectives (Arace-Rodriguez et al. 2019)

・Difference in capsaicinoid biosynthesis gene expresssion in the pericarp reveals elevation of capsaicinoid contents in chili peppers (Capsicum chinense) (Tanaka et al. 2017)

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